敬称は省略してます。お許しあれ。

歌舞伎 歌舞伎400年 三月大歌舞伎 夜の部 
「 源氏物語 須磨の巻 明石の巻 京(みやこ)の巻 」
京都南座 03/3/8
新之助くんは今年は大河ドラマの「武蔵」主役で忙しいだろうから、収録が終わるまで歌舞伎は当分お預けだろうと思って安心していたのだが(経済的に)、予想ははずれ、なんと京都で「源氏物語」をやってくれるということで、1月末から裏技使ってチケットをGET!(発売は2月中旬だった)。

そりゃあ前々から、是非やってほしいとは思ってましたよ、関西で。
何しろ源氏物語ですよ。舞台は京都ですよ!
私は新ちゃんと菊ちゃんと辰ちゃん(今は松緑だけど)の三之助が、東京の歌舞伎座の団菊祭(毎年5月にある団十郎と菊五郎中心の歌舞伎)に初めて源氏物語やるってことになってから、平成12年も13年も東京まで見に行きましたよ!
それがやっとお膝元の京都まで来てくれるというんですから、しかも新ちゃんの歌舞伎はきっと秋以降までは見れないだろうと思っていたから、そりゃあ見に行くしかないじゃありませんか!!

裏技というものの、現実は何を隠そう、同じ舞台に出演されている歌舞伎役者さんの番頭さんに頼んで、チケットをとってもらったので、今回も舞台の中央、前から3列め、という素敵な位置で鑑賞させていただいきました♪本当に、役者さん絡みで手配してもらうと、不満や文句一切なしの素敵な座席のチケットを手配いただけるのでありがたいです。同じ値段で、必死で電話かけしてチケットとれてもなかなか良い席はとれませんから・・・・・・。

歌舞伎ではイヤホンガイドを館内で貸りることができるけど、今までの経験上、源氏物語にはイヤホンガイドは不要。瀬戸内寂聴さんの原作・脚本は、ほぼ現代語に近いもので、私には必要ありません。4時から始まり、終演が8時30分ということで、南座に入る前に、夕食のパンとお茶とお菓子を購入し(お昼にしこたま食べたから夕食は軽く)、南座に入って、筋書を即購入し、席に座る。土曜の夜だから(あるいは平日もそうなのかは不明)か、席は1階から3階まで満席でした。今までの経験上、歌舞伎のお客はどうしてもご年配の方が多いので、夜の部より昼の部のほうが満席のことが多いし、夜の部はチラチラと空席もあるものだけど、ありませんでしたよ、空席。さすが人気の団菊ですね。

さてさて今回の源氏物語、巻が「須磨の巻」「明石の巻」「京の巻」ということで、簡単に説明すると

須磨の巻」では
兄帝の後宮への入内が決まっていた朧月夜尚侍のもとに密かに忍び通っていた光源氏。そのことが、尚侍の父で政敵でもある右大臣と兄帝の母で桐壺の更衣(源氏の母)を憎んでいた弘徽殿女御(大后)にバレて、中宮(藤壺)や東宮の地位を守るために、自ら位官を辞し、都を離れ須磨へ身を退けている・・・・・時のお話。

明石の巻」では
大きな嵐で須磨で暮らしていた館が大破、夢の中(?)で亡き父帝の桐壺帝「すぐに船出して須磨を去るように」という言葉に従い、住吉大明神のお告げで迎えにきたという明石の入道とともに明石へ。明石の入道の娘、「明石の君」と運命の出会いをする。都に置いてきた紫の上に罪悪感を感じながらも、明石の君と結ばれてしまう光源氏。人に知らされる前に、自ら愛を裏切った(明石の上と契った)ことを紫の上に手紙で告白。紫の上は嫉妬し嘆き悲しむが、帝から赦免の詔が届き、光源氏が京に戻ることになったという知らせを受け、機嫌を直す。一方、明石では明石の君の懐妊がわかり、光源氏・明石の君ともども喜びを感じつつ、京都に帰還する赦免の詔の知らせで一時的に別れの時が来たことで悲しむと・・・・というお話。

京の巻」では
一層出世街道まっしぐらの光源氏。紫の上との仲はむつまじいが、明石の上との間に生まれた姫が3歳。嵯峨の山荘にまで来ている明石の上のもとに行きたくても、紫の上のことを考えると行けない源氏。愛する源氏との間で子供が出来ず、悩み嫉妬する紫の上。そんな紫の上に、明石の姫を育てて欲しいと頼む源氏。そして姫の出世のために姫を手放さなければならない明石の上・・・・。栄華を極める源氏をとりまく二人の女性の愛情と苦悩が入り混じる・・・・というお話。

です。はっきりいいましょう。今回の取り上げられている巻は、
光源氏のかなり不遇な時代(女々しい時代)を扱っています。私的には源氏物語では、まだ光源氏がもう少し若い頃、ライバルの頭中将とつきあう女性ではりあっている頃(末摘花)とか、六条御息所とか葵の上とか、まだ紫の上が幼く、紫の君と呼ばれている頃、つまり、「私は何をしても許される身なのです・・・・」と奢っていた光り輝く時代の光源氏が好きです。望めるなら、新ちゃんや菊ちゃんが、まだまだ若い今のうちにそのあたりの巻をやってほしい・・・とか思うんですが・・・・

とはいえ、今回の感想はというと。

武蔵の新ちゃんの声は比較的、地声に近いんだけど、光源氏の時はやはり雅な平安貴族らしい裏声で演じているので、それはまた新鮮だった。
そして新ちゃんの光源氏も、菊ちゃんの紫の上も、本当に美しかった〜!!につきます。
歌舞伎でどうして役者は白塗りするのか、それは昔、江戸時代に歌舞伎が発展した頃に、芝居小屋に入る照明がまだ外の照明などで、役者の存在感を増すために白塗りするというのを聞いたことがありますが、まさに、暗い感じの舞台の上で、鮮やかにスポットライトが当てられると、それはもうなんともいえない美しさです。

須磨の巻では源氏が、かなりメソメソしてます。何度も死にたいくらいだけど、都に残してきた紫の上のことを思うと死ねない・・・という感じで、かなりのヘタレ源氏です。自分が手を出したらやばいやろーという朧月夜の君に手を出して、謹慎中という自業自得だというのに・・・。
須磨の巻で株をあげるのは、源氏のライバル&親友である頭中将(今回は三位の中将)。都の貴族が誰も来ない中、源氏の見舞に紫の上の手紙や土産を持って須磨まできます。頼むべきは心のの親友(とも)です!平成12・13年の時、三位の中将を演じたのは辰之助(現:松緑)でしたが、今回は正之助さん。ベテランの人なので、演技は良いのですが、新ちゃんや菊ちゃんの、ピッカピカの若さと比較してしまうと、同世代の役なのに・・・どうしても同世代には見えないよ〜と心の中で嘆いてしましました・・・。できれば若い役者さんに演じてもらいたかった〜(まぁ助六と揚巻の恋人が約50歳の年齢差に比べれば・・・どうってことないですが・・・爆)。

亡き父帝は新ちゃんの父ちゃんの団十郎さまですが、亡霊らしく、宙に浮いて登場!かっこいいです。さすが桐壺帝です(笑)。亡父帝の言葉に従い、明石の入道の迎えにいそいそと明石に向かう光源氏。ちなみに明石の入道も団十郎さまです。光源氏に娘を娶わせたいと思う入道に対し、田舎育ちで将来は都に戻る光源氏に近づくのが不安な明石の君。明石の君は福助さんですが、やっぱこの人、最高に上手いです。コミカルなシーンも悲しいシーンもこの人が演じると本当に心打たれるものがあります。綺麗で評判の娘がいるのに、どうして話をしてくれないのか?と入道に尋ねる光源氏。ついに女ったらしの本性発覚です(笑)。そりゃあ謹慎中の須磨暮らしで女っ気一つなかったのはわかりますが、だからといって紫の上のことを考えたら浮気はいかんでしょう?

かといって、恋の炎は止まらない(笑)のが光源氏。もう、新ちゃんが、これでもかこれでもか!というくらい、ゾクゾクするような(歯の浮くような)台詞で明石の君を口説きます。最初は拒む明石の君ですが、ついに光源氏に堕とされてしまいます。
周囲の人の噂で耳に入るよりはと、「明石の君とねんごろになっちゃった・・・ごめんね」の意味の手紙を紫の上に送る源氏。女の敵です。現代で単身赴任中の旦那が赴任先で愛人つくったら、正妻からは慰謝料請求されて三行半をつきつけられても文句言えません。だが、しかし舞台は平安時代。源氏が理想の女性に育て上げた紫の上は、嘆き悲しみ、怒り嫉妬しながらも、源氏を許します。なんてけなげな女性なんだ・・・。嫉妬に怒り狂う菊ちゃん演じる紫の上はめちゃめちゃ可愛いです。怒る紫の上に笑いながら、赦免の詔を知らせにくる三位の中将、本当の平安時代なら、いくら紫の上と三位の中将が会うとしても御簾ごしだと思うんだけど、ここは歌舞伎の舞台。ちゃんと面と向かって会うわけですが、誰もが美しいという紫の上、三位の中将が源氏のいない時期に、1対1で紫の上と会ったりなんかしたら、ヤバイんじゃあ?と腐女子的発想をしてしまいました。よっぽどアヴァンチュールがおきそうなシチュエーションだって思うんですよ(笑)。

帝からの許しを得て、京都に戻ることになった光源氏。明石の君が悲しむことは言うまでもなし。京には源氏の最愛の妻である紫の上がいる。自分が京都に行っても肩身の狭い思いをするだけ・・・。しかもお腹の中には愛の結晶が・・・・。本当メロドラマな展開です。すげーよ、紫式部って(笑)。懐妊を告白する明石の君、驚きつつも「喜んでください、あなた」と言う光源氏。そりゃあ愛する人との子供が出来て嬉しいだろうけど、旦那には最愛の女性もいて、自分は日陰の身で、しかも旦那は帰ってしまうっていうんですよ、喜べっていって素直に喜べますか?ってもんです。「今は離れなければならないけど、きっと迎えにきます。別れたままにはしない・・・・私を信じてください。」信じられません・・・(笑)思わず心の中で突っ込んでしまう私。しかも、紫の上には私たちのことは、知らせてある・・・だと!ひでぇ男だよ、こいつは!って思います。現代なら本妻から何されるかわかったもんじゃあありませんよ。

嘆き悲しみながらも別れる明石の上と光源氏。京都に戻ってきた後は、紫の上とも再会しラブラブで、官位も昇進し、栄華を極めていく源氏。住吉大社にお礼参りに紫の上と出かけると、偶然、参詣にきていた明石の上とすれ違う。身分の違いに嘆く明石の上。明石の入道は生まれた孫娘のために母親と明石の上を嵯峨の山荘へ移らせる。姫が生まれて3年。山荘に行ってやりたいが、紫の上に気がねして出かけられないヘタレ源氏。意を決して姫の袴着の式を紫の上に頼む。紫の上が、源氏に悔しさを切々と訴えるシーン、菊ちゃん怒ってるシーンでも最高に可愛いです。っていうかとてもけなげです。
そして山荘で明石の上は姫の将来を思って、泣く泣く姫を源氏の手に預けます。3歳のまだ可愛いさかりの姫を手放さなければならない明石の上、とても切なく悲しいです。福助さん、大熱演です。源氏の新ちゃんの悲痛さももちろんイイ感じですが、最後の雪降る中の、明石の上と姫の別れは涙を誘います・・・・。

新ちゃん演じる光源氏、とにかく今回のみどころは、明石の巻でのプレイボーイな源氏につきます。いや、京の都に帰ってきて紫の上とのラブラブっぷりもいいんですが、今回はやはり明石の巻。

菊ちゃん演じる紫の上、とにかく愛嬌があって美しく、紫の上の登場場面はどこもグッジョブ!です。美しさを堪能できます。

福助さん演じる明石の上、1シーンだけ藤壺の上も演じてますが、今回はやはり京の巻で見せる明石の上の悲哀・・・につきます。以前、松竹座で「葛の葉」を演じられた時も涙を誘われましたが、今回もやはり涙がでてくるほど素晴らしい舞台でございました。いや、福助さん演じるコミカルな役もすごく好きなんですけどね・・・・


とにもかくにも、せっかく京都で見られる歌舞伎「源氏物語」これを見ない手はありません。大丈夫、歌舞伎でもこれは難しくありません。もし興味がある方は、チケットさえ手にはいればぜひ、美しい平安絵巻をご覧になることをオススメいたします。


PS  一部では脚本はナンだったと言われる平成12年の源氏物語だけど、キャスト的には一番良かったなぁ(ボソッ・・・)









         
















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