敬称は省略してます。お許しあれ。

歌舞伎 芸術祭十月大歌舞伎 昼の部 
「 おちくぼ物語  絵本太功記尼ケ崎閑居の場  夕霧伊左衛門廓文章吉田屋 」
歌舞伎座 01/10/10
ここ数年、私は松竹にしてやられている。どう、してやられているか?関西在住の管理人にとって、歌舞伎のために東京まで出かけることは大変な出費。なので、東京に行くたびに、もう今年中はこれで歌舞伎で東京に来ることはないだろう(他の用件で来ても・・・笑)と思うのに、次から次へと見逃すにはあまりにも辛すぎる演目を持ってくる。(恐るべし、歌舞伎界)

そう、関西在住の人は京都の南座と大阪の松竹座に歌舞伎が来るまで我慢してりゃあいいじゃん?って思う人もいるだろう。
しかしそれは甘い!だって、同じ役者さんが、同じ演目をひっさげて全国を行脚してくれるのなら、大人しく待ってもいましょう。そうは問屋をおろしてくれないのが歌舞伎だったりする。次から次へ役者を変え、演目を変えてくるのが歌舞伎の世界。だから、1度見逃すと、次、同じ役者さんで見れても何年後?下手すると二度としてもらえないかもしれない(ク〜)。

そんなわけで、今、私の中で一番好きな、歌舞伎界のアイドル(笑)市川新之助の晴れ姿を拝みに行くために(笑)、5月の団菊祭、9月の花形歌舞伎、10月の大歌舞伎と東京にでかけている。ちなみに8月の納涼歌舞伎はいつも面白い勘九郎を目当てに出かけているが・・・・。もちろん、ただでは帰らないのが管理人。せっかくの東京遠征、歌舞伎のつど、海の辺りで開かれているイベント(笑)に日程を調整していたりする(笑)。

言い訳すると、管理人は新ちゃんが出てれば、常に見に行くってほどのおっかけではない。うん、一応、その日の部(昼・夜)で、「新ちゃんメインの美味しい配役になっていること」が条件。現に1月の歌舞伎は新ちゃん出てたけど見に行かなかった(でも2月に博多まで行ったけど・・・笑)。
5月は「源氏物語の光の君」、9月は「鳴神の鳴神上人」「彦一ばなしの殿さま」などなど、見たいものが、ちゃんとあった。そして9月の新橋演舞場に着くまでは、思っていた。「もう今年はないだろう、東京への歌舞伎のための遠征。」なのに、嗚呼なんてこったい!?10月の芸術祭のチラシを見つけた瞬間に、私は完全にノックアウトされたのだった。

チラシにかかれた演目を見て、管理人が「なんですとー!?おちくぼ物語ですとー?なんで今年やるんですかぁ?」と心の中で絶叫したのは言うまでもない。学生時代から日本の古典をこよなく愛してきた管理人。古典の中でも、3本の指に入るのが、「おちくぼ物語」「とりかえばや物語」「源氏物語」だったりするのだ。高校の文学史では「落窪物語・・・継子いじめの話」という簡単な説明がほとんどだと思う、もし読まれたことのない方、いらっしゃったらぜひ、図書館などで読んでみていただきたい。

「落窪物語」とは、まさに日本古典のシンデレラ。シンデレラと異なるところは、シンデレラは王子様とめでたしめでたしでハッピーエンドになって終わりだが、落窪物語はヒロインの姫君を幸せにするスーパーヒーローの左近の少将が、妻をいじめ抜いてきた、継母の北の方やその娘たちに対して姫君のかわりにリベンジする。そのリベンジも手を変え、品を変え、そりゃあもう胸のすくようなリベンジ(笑)。もちろん、心優しい姫君は、旦那様である少将に「ひどいことはなさらないで」とやんわり言うのだが、少将は、これでもかこれでもかというくらい、いろいろリベンジするわけ。「顔よし、頭よし、出世頭で頼りになる、そして性格にちょっと難はあれども愛する者にはとことん優しい攻様」が大好きな私にとって左近の少将はまさに理想(結局、そこにくるんかい?笑)。その左近の少将を大好きな新ちゃんが演じる・・・となれば見るしかないわけだったりする(爆)。

というわけで、今回の歌舞伎座は昼の部のみを観劇。勿論、夜の部にも新ちゃんは出ていたが、1幕しか出てなかったので(クスン)今回はお見送り〜(笑)。
昨日の京都南座に続き、夜行バスによる強行軍で見にきた歌舞伎座、平日というのに、南座と同じく、こちら歌舞伎座もほぼ満員という人の入りよう。恐るべし歌舞伎FANのパワー!ええ、日記にも書いたが、私はGジャン・Gパンで行った。いいんだも!おしゃれしなくても!まあ、一般に芸術祭はおしゃれしたほうがいいらしいのだが。歌舞伎が庶民の文化から始まったわけで、おしゃれしてる人はいっぱいいるわけだから、まあいっかーと常に開き直ってる私(笑)。南座とちがってこちらのチケットにコネがなかった私は、自力で電話かけをしてチケットをGETした。つながるまではめっちゃ時間かかったんだけど。それで、とれた席は1階の10列め、花道からは8番目くらいだったので、正面のステージからは結構役者さんが目線を向けやすい角度(笑)。管理人が、視線が実際あってなかっても、「今、新ちゃんと目があったわ!」と自意識過剰に浮かれていたのは言うまでもない(笑)。初日とか千秋楽などには役者の奥様方を拝見することが多いけど、今回は見なかったな。っていうか知ってる奥様もそういるわけじゃあないし(爆)。

管理人の隣にすわっていた、おばさまも一人で観劇されているようだったので、おそるおそる、しゃべりかけてみる。
「平日なのに、人多いですね?」
すると、おばさま曰く「そうねぇ。歌舞伎だけは多いんですよ。他の演劇の時はそうでもないんですけどねぇ」とのことだった。そのおばさまは歌舞伎歴50年以上で、新ちゃんのお祖父ちゃんの海老蔵時代から歌舞伎を見ているらしい。奥が深い。私が、昨日は京都南座で歌舞伎見てきたんです、というと、とてもびっくりされた(笑)。学生さん?と聞かれ、お世辞にはちがいないが、かなり嬉しかったかもしれない。そのおばさまは8月の納涼歌舞伎の野田版 勘九郎主役の「研辰の討たれ」はお気にめさなかったらしい。私はあれを見て、大笑いし、歌舞伎もここまで面白くするのも一種の才能だな?と思っていたんだが。まあ、きっと昔からの歌舞伎FANの人に言わせると邪道と評価されるのかもしれない。私はこれも歌舞伎、これからはもっと歌舞伎も変わっていっていいじゃん?勿論、伝統的な歌舞伎も残せばいいわけだし・・・と思う派なのであるが(ここんトコは人の相違だもんね)。まあ、そのおばさまも新ちゃんへの評価はまあまあらしい、さすが新ちゃんファン層は厚い!(笑)

新ちゃんは、あまり人受けする優等生的な発言をしない(と私は思う)。筋書き(歌舞伎のパンフレット)でのインタビューでも、写真集でも、「与えられた役について、目の前の役をやることが精一杯、親父(団十郎)の大きさをひしひしと感じる」的な発言がしょっちゅうである。あまり抱負とかも語ってるのは少ないんじゃないかな?うまく表現できないけど、野球でいうイチローとかサッカーでいう中田みたいなイメージを私は受ける。確かに今後、新之助から海老蔵、団十郎と歌舞伎界の大きな名を継いでいくであろう彼が、ペラペラと軽い口をたたくわけはないんだが・・・(笑)。

で、どうやったんや?昼の部の感想は?といわれるだろう、前置きが長すぎるねんな、私(爆)。

おちくぼ物語」→新ちゃんの左近の少将は美しかった。リベンジの話まではいかないが(1部リベンジはあるにはあるが)、りりしい少将といううよりは、むしろ少将の誠実さとコミカルなところが面白かった。新ちゃんは、この手の貴公子を演じると、裏声というか声を地声ではない声で演じるのだが、私的にはあまり好きって声ではない。(だからといって嫌いではないのだが。むしろ荒事のほうで、地声に近い声で演じる役のほうが好きだってことである)それでも、ちょっと色気というか、プレイボーイ的な要素は、お父ちゃんの団十郎さんとは、また違ってイイ感じ。福助さん(橋之助の兄ちゃん)演じる姫も、なかなか可憐で、福助さんの役では私はコミカルな役が好きだが、今回の姫はなかなかハマッてたと思う。とにかく、「見にきて良かった!甲斐があったよ!」な演目だった。

絵本太功記」→この演目、申し訳ないが、私には眠かった。うん、夜行バスのうとうと寝のツケが一気にここにきたという感じだった。内容は明智光秀が織田信長に謀反をおこし、その後秀吉に攻め滅ぼされるまでの数日間のエピソードで、光秀を団十郎、光秀の息子の十次郎を新之助(親子で演ってるわけ)、そして十次郎の新妻を福助、光秀の母を田之助が演っていた。(ちなみに明智光秀は武智光秀、羽柴秀吉は真柴秀吉、織田信長kは小田春永と名前は変更しています。歌舞伎のお約束ですね)。光秀が、我が家に秀吉が潜んでいるとにらみ、障子の向こうを竹やりで刺したら、刺した相手は自分の母親、そして息子も戦場から戻るが、瀕死の重態、最後に母と息子を一気に亡くし、嘆く光秀という芝居である。役者に不足はない。しかも新ちゃんも出ている。なのに、なぜ眠かったのか、それはこの演目が義太夫に語られるものだったからである。

義太夫(ぎだいゆう)とは太夫(語り手)と伴奏(三味線)によって物語が進行していくもので、三味線の音と何をうたっているのか、ちょっと聞いたくらいでは理解し辛い語りが私に睡魔を襲来させていたことは間違いなかった。
しかしながら、せっかく高いお金をだしているチケット、ここで寝てはいけないと、必死で我慢して見ていた1幕だった。

夕霧伊左衛門廓文章(くるわぶんしょう)吉田屋」→この演目で、管理人、はじめて片岡仁左衛門さんの良さを理解しました。とにかく色気がある。あの色気はなかなかクルものがあります。強気な攻ではなく、臆病だけど強がって、可愛らしい、いわゆる母性本能をくすぐる攻のタイプ。内容は傾城「夕霧」を尋ねてくる、勘当されて今は落ちぶれている大店の若旦那「伊左衛門」との再会のお話。伊左衛門が夕霧が来るまでのワクワク、そわそわしている演技と、仕事中で他の部屋からなかなか伊左衛門の部屋に来ることのできなかった夕霧が来たら、若旦那が甘えてスネまくるところが、なんとも可愛い!というお話です。傾城とは廓にいる太夫などの位の高い遊女のことで、遊女の中でも特に絶世の美女のことですが、この夕霧をおばさまたちのスーパーアイドル「玉三郎さま」が演じていることが、すごかった。この仁左衛門さんと玉三郎さんの廓文章は過去に何度も演っていて人気の高い演目ではあるが、歌舞伎座で、おばさまたちの「は〜ッ」っていうため息を聞いたのは、初めてだった。とても美しい玉三郎さまはやはり「ただもの」ではないと思った1幕だった(笑)。






         
















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